イヨッ!!玉三郎さん

先日友人宅でテレビを見ていたら、坂東玉三郎さんの特集をやっていた。

いわずと知れた当代最高の女形である。又、彼の日本舞踊は本当に素晴らしい!

ん〜〜25年ほど前になるか・・当時、東宝の事務所の方からだったか・・僕に電話があり、「玉三郎さんの芝居に出ていただけないか??」・・という話があり、僕はよい経験になるかも知れないと、引き受けた。
・・でも、よくよく聞いたら、舞台に上がって、フルートと打楽器の2人のみの演奏で音楽をつけるという。2人のみのオーケストラ??
(その頃僕はフルートでクラシックしか演奏していなかった。)
さらによくよく聞いたら、他の役者さんと同じ格好(衣装をまとう)での演奏という。
しかも1ヶ月の拘束で、公演場所は日比谷の東宝関係のホールだったか・・無論、、当時団員だった芸大オーケストラや、東京純心短大の講師の仕事も休めないので続けながらの仕事・・相当ハードな為、他のスタジオ関係の仕事はできない。
・・・・云々・・・・

結局色々考え込んでしまったが、引き受けることにした。

・・で坂東玉三郎さん(以下、玉さんと呼ばせて頂く。)の号令で、
(出し物は「王女メディア」というギリシャ劇だったか・・)
練習に入る前に、スタッフ全員でマリア・カラス主演の映画「王女メディア」を鑑賞するという。ん〜〜ん。これ一つで彼のこの芝居に対するこだわりが感じられた。

練習に入っても、たかが笛一本と打楽器の二人だけのバンド?で劇が進んでいくのだが、玉さんは音に対してすごくこだわりがあってその日その日の反応がとても面白かった。

面白いもので、悲しい所をいつもより、より深く悲しく笛を吹けば、玉さんの演技も、より濃くなっていく・・・。
だから、僕らが即興するように玉さんは反応してくれた。
気が付けば一ヶ月はあっという間に過ぎて楽日になってしまった。

打ち上げは、僕等は勿論スタッフ総出でディスコへ・・・玉さんの奢りで皆で踊りまくった。
本当に楽しい坂東玉三郎「王女メディア」の公演だった。

玉さんのモットーは「とりあえず、明日の仕事をこなさねば・・」との事。弱い体を気遣いながらの言葉であろう・・要は明日の仕事の事しか考えられないのだろう。

僕は知らなかったが、彼は小さい頃、小児麻痺を患ったそうで、今でも両方の足の長さが違うのだそうだ。
一緒に仕事をしていて、そんなことは全然気付かなかったし、彼から微塵も感じられなかった。

僕がご一緒してからもう25年(四半世紀)経った今、
(彼はもともと素晴らしい素敵な役者なのだが・・)真のアーティストになったと思う!!