ジャン・ピエール・ランパルさんが彗星の如く現れた同時期に、ジャズ界にはハービー・マン現る‼️

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カミンホーム・ベイビーで大ヒットのハービー・マン

もう何回かブログに書いていますが、中学3年の夏休み……林りり子先生から「君なら音楽高校受験に受かるよ」…等とおだてられ、その気になった僕は一応必死に音楽高校の受験の用意をしたのですが、結果奇跡的に芸高へ超低空飛行で受かった。(笑)

しかし…受かったのは良いのですかが、入学してからが地獄で、前期のソルフェージュの試験で落第点を取った僕は、フルートの川崎優先生に呼び出されフルートのレッスンそっちのけで、聴音のレッスンが始まる始末………本当に冷や汗ものでした。

川崎先生には劣等生の僕の為にご心配をお掛けして、おまけに聴音のレッスンまでして頂き今思うと本当に先生には感謝しかありません。

当時、芸高に大谷和夫君という打楽器科の同級生がいたのですが、彼は昼休みや休憩中にピアノを弾くのですが、どうもそのピアノ音楽は妙にリズミックで譜面がないようだった。

僕が「君は何を弾いているんだい?」……と聞くと彼は「アドリブだよ。」要は即興との事。

僕はびっくりして「どうしたらそんな事が出来るんだい?」と聞くと「まずは好きなプレイヤーのアドリブをコピーすれば?」……という。この出来事は本当にショックだった。

翌日、大谷君は「これ吹いてみたら?」……と当時「カミンホーム・ベイビー」のヒットで有名になったハービー・マンのアルバムから「モーニン」(当時アート・ブレイキーの演奏で有名なボビーティモンズの作品)のアドリブソロのコピーの譜面を僕に差し出してくれた。

この曲、後日聴いてみたらアフロキューバン風のアレンジでブラスセクションのオブリガードがついてハービー・マンのフルートソロが凄くカッコいいんですよ!

で、このコピー譜面…どう考えても初見では到底吹けないくらい音数がメチャクチャ多い。

高校生だった僕はこの譜面が即興なんて本当に信じられず、それを吹くハービー・マンさんのテクニックに驚愕したものだ。

又、簡単にこの音符だらけのアドリブをコピーしてしまう打楽器の大谷君の能力にも驚愕してしまった。(大谷君の父上はビックバンドのバンマスで、彼は芸高を中退した後にショーグンというバンドをやったり、火曜サスペンスのテレビドラマの作編曲をやっていた。)

成る程……ミュージシャンになる為にはソルフェージュ能力は不可欠と感じた僕は、コピーしやすいジャズのレコードを大谷君に聞いてソニー・ロリンズの「サキソホン・コロサス」を買い求め「マックザナイフ/モリタート」をコピーし始めたのだが、ナントこの一曲のコピーに3日もかかってしまったが、その後アドリブコピーをかなり量をやった記憶があるのです。

結果、気がついてみれば僕はソルフェージュの試験での落第点は免れ、ジャズも好きになっていくのだが、丁度その時期に憧れのハービー・マンが来日。クラシック音楽の音楽作りとは正反対の音楽作りをするジャズミュージックを演奏する生ハービー・マンを聴き大変感動した。その当時初めて耳にしたアルトフルートやバスフルートを使ったボサノバやジャズを聴きクラシック音楽だけを勉強してきていた僕は本当にカルチャーショックを受けたものだ。

しかしその段階で、僕はまず…モーツァルトが吹けるフルート奏者やオーケストラマンになりたかったので高校生活は必死でクラシック音楽のレッスンに勤しんだ。

一方どうしてもジャズもやりたかったので、サークル活動として、アルトサックスを買い込みピアノ科の同級生の隈本君達とこれも当時流行っていたデイブ・ブルーベック&ポール・デスモントの「テイク・ファイヴ」や「トルコ風ブルーロンド」等演奏して大いに楽しんだ。

僕は本当に充実した楽しい高校生活を送ったと思う。

僕は小学校の時にテレビから流れてきた、チャイコフスキーの「くるみ割り人形ビゼーの「アルルの女」等に憧れてフルートという楽器に出会ったが、当時クラシック界ではマルセル・モイーズ先生が吹く「ハンガリー田園幻想曲」のレコードが日本で聴けるようになったり、ジャン・ピエール・ランパル先生が彗星の如く現れてクラシックフルート界のスターに躍り出た。丁度その頃にジャズ界ではハービー・マンという大スターが現れ、フルートという楽器が日本でも世界的にも認知されてきた時期なんですネ‼️