飛鳥船上日記12

翌30日はピラミッドに行ってみる事にした。タクシーで行けば500円程かなあ…。…で、果林が日本から持ってきた「地球の歩き方」によると、普通のバスで行けば15円ほど、エアコンがついていれば、35円ぐらい。面白そうだから、現地の人達と一緒に皆でエアコン付デラックスバスに??乗ってみようということになった。
バスの行き先表示には、アラビア数字が書いてあるのだが、我々が知っている数字とぜんぜん違う。わが子果林はそのアラビア数字を勉強してきた。  ん〜…果林先生によると…ピラミッドのあるギガ行きのナンバーは357なのだが、3は縦棒の右上に2つひげを書く。5はO。7はAの上下反対。……という、わけの判らない絵数字を頼りに、ホテルのまん前にある大きいバス停を現地の人に聞きながら、あっちへいったり、こっちへ行ったり、うろうろする事30分。やっと見つけてそのギガ行きのバスへ乗ってみた。車中地図を見ながら乗っていたのだが、町の建物が無くなった途端、大きいピラミッドが目に飛び込んできた。
バスを降りる時、運転手さんは親切に、「帰りはここからホテル行きにのるんだよ」とか「ピラミッドへの入場券は、100メートルほど進んだ右にあるよ」…とか教えてくれた。
教えてもらったそばから……道の左側から「ピラミッド行きの道はここだよ」…と叫ぶエジプト人がいた。思わず条件反射で我が子果林と阿部ちゃんはその方へ行ってしまった。僕は慌てて「戻れ戻れ」と必死で二人を連れ戻した。…危ない…危ない…ラクダ使いだ。乗ったら最後、大金を払わないと二度と降ろしてくれないクモスケ・ラクダ使い達……アブネー。



ここはラスベガスのホテル・ルクソールではありませんエジプトです!!(ハハハ…)本物のピラミッドは(張子ではありません!)威圧感が凄い!!歴史の重さをズシーンと感じます。充分堪能してから奥のスフインクスへ…。        
何やら聞きなれた日本語が聞こえてきた。よく聞くと「果林ちゃ〜ん」と叫ぶ人がいる。よくよく見たら飛鳥のお客さん達であった。彼等はアレクサンドリアからの観光で…何と偶然、僕らと同じ時間にそこで出くわしたのです。二日前にお別れしたばかりなのでビックリでした!!
それに、つのださんのバンドのコーラスのお姉さん、かおるさん&まゆかさんとも鉢合わせ。お二人はアレクサンドリアから貸切タクシーで来ていた。彼等はこの後、博物館に行くという。
ラッキー!!!
僕等のホテルは彼らが目指す博物館の隣りなので、僕ら3人は彼らのタクシーに便乗させてもらった。

さて博物館についたら、何か物々しい…。警察官が異常に多く、彼等は「ここを立ち去れ」という。仕方なく、逃れるようにそこを離れ、観光スポットのモスクやシタデルに行ってみた。モスクの景観が素晴らしい事…!!ここエジプトは本当にユニークなイスラム系の建物文化が存在する。シタデル(要塞のような所だった)では、車を降りて4人で歩いていたら、前から走って来た車の中から水入りのビニール袋が我々目掛けて投げつけらた。
……どうも僕等は歓迎されていないようだ。
怖いのですぐその場から立ち去り引き返した。かおるさん&まゆかさんはハーン・ハリーリという、よく観光客が訪れる買い物スポットにも行きたかったらしいが、タクシーの運転手に「悪い事は言わないから、帰った方がいい」…と窘められて、我々をホテルに送って早々にアレクサンドリアに引き返して行った。
それもその筈、数日前ハーン・ハリーリで自爆テロがあったばかりなのだ!…

……僕等はホテルの部屋に戻り、テレビをつけて又又ビックリ!!
何と、テレビには僕等の泊まっているホテルがテレビに映っていて、ここの真ん前のバス停で爆弾テロがあって死亡者が出たばかりなのだ。わ〜〜クワバラ〜〜クワバラ〜〜…何とその現場は3〜4時間前に僕等がピラミッド行きのバスに乗った、正にその場所で…爆弾テロ…僕は絶句しました!!
正にこの辺の国々の人々は死と隣り合わせに生活しているのだ。

危ないので夕食はホテルの真ん前の定食屋で済ませた。帰り道、日本の朝日新聞の記者さんに色々聞かれた。彼が言うに……
「一回テロがあった所は当分大丈夫ですよ」…本当かなあ??

……という事はこのホテルもハーン・ハリーリも当分は安全という事だ!!
まずは、心配しているであろう日本にいるカミサンに電話を入れ、3人が生きている事に感謝しつつベッドに入った。(カミサンは全然知らなかったらしい。ガクッ!!な〜んだ)