我が家は東横線の日吉にあるのだが、近所に慶応大学日吉校があるお陰で凄く環境が良い。
２年前の我が家は茨城県は牛久であったが、牛久沼はあるし、運動公園はあるし、隣村のつくばや龍ヶ崎まで行けば、森林公園や筑波山など自然に恵まれた環境だった。
カミサンと僕ははせっせと、先日亡くなった介護状態の親父さん（９３歳の）を歩かせる為、彼を連れ出し、よく公園に行ったものだったが、ここ日吉も、慶応大学があるお陰で、本当に緑が多く、牛久にも勝るとも劣らないくらい散歩には格好の環境だ。
ことに、３日程前から桜が満開で、本当に綺麗だ。おまけに酒盛りをしている団体もいないし、学生達が野球やテニスをしている間を縫って、ゆっくり…ゆっく〜り桜を見て廻った。
今日はあいにく雨だったが、空気がきれいで清清しく、散った花びらで覆われた道は、まるで雪道のようであった。
若い頃はゆっくり花見などした事が無かったのに…やはり僕も年をとったという事か。
芸大で教えていた頃、この時期、帰り道の上野公園は大変な混雑だったし、やかましくて桜をゆっくり見るどころではなかった。おまけに僕は次の仕事の事で頭が一杯だった。
亡くなった僕の母は、生前「昌三、チョット車を運転してお堀まで連れて行って！」…と頼まれ、僕はこの時期よく母を車に乗せて九段下から武道館の近所を通り、半蔵門あたりまで桜見物をしに連れ出したものだ。
その頃、母が「あと何回桜を見ることができるんだろう？？」と言っていたが。それから数年後、６５歳で亡くなってしまった。
そんな僕も今年で還暦。「あと何回桜が見れるんだろう？？」…妙に母の言った言葉が、今の僕にピッタリで、しんみりしてしまった。
