スタジオの仕事をし始めた僕は時間が空くと、近所のジャズ喫茶で新しいアルバムをせっせと聴いていた。
その頃ピアノのチックコリアさんは何でも吹いてしまうリード奏者(ソプラニーノからバスサックス、Esクラリネットからコントラバスクラリネットまで…フルートも吹く…)アンソニー・ブラックストンというリード奏者と「サークル」だったか………?フリーミュージックのバンドをやっていた。………が、ストップ‼️して……突然彼自身のバンド「リターン・トゥー・フォー・エヴァー」というバンドを組む。
フローラ・プリム(歌)、アイアート・モレイラ(パーカッション)、スタンリー・クラーク(ベース)が参加する何ともブラジル色が濃い……僕にとってはすごくポップなバンドだったが、そこへ素晴らしいサックス&フルートを担当するジョー・ファレルさんが参加していた。
普通……サックスを主に吹くプレイヤーはフルートの精度が落ちる………と 僕は思っていた。
しかし、このジョー・ファレルさんはアルトフルートは勿論フルートそして、難しいピッコロまで難なく吹きこなし、ソプラノ&テナーサックスはソウルフルというよりは大変エモーショナルにビュービュー鳴らせる。
しかもしかも、彼はエルヴィン・ジョーンズのピアノレスのトリオのアルバムにも参加していて、ピッコロから〜〜〜テナーサックスまで見事に吹きこなす。……エルヴィンの別のアルバムではコールアングレまで吹くのにはびっくりした。
(日本でも僕が憧れていたテナーの村岡健さんが…「学生街のガロ」のアドリブソロ………だったかコールアングレを吹いていた?)
ピアノレスのアルバムはロリンズやリー・コニッツ等、素晴らしいアルバムを作っているがサックスの音色は1種類だ……
だから良いという訳では無いのだが、……しかし、ジョー・ファレルさんは様々な楽器の音色が次々に飛び出してくる。おまけにエルヴィンとの絡みがご機嫌で、ピアノレスでこんなワクワクするアルバムは初めてだ。
このジョー・ファレルさんがチック・コリアの「リターン・トゥー・フォー・エヴァー」に参加していて、明るく済んだ音で歌うこのアルバムのフルートに僕はすっかり惚れ込んでしまった。
このバンドはすぐに解散してしまったのだが、再結成して来日したのだが、僕は聴き逃すまいと馳せ参じ……聴き惚れてしまい、今だにあの感激は覚えている。
丁度この時期、僕はフリーミュージック(フリージャズともいう)をやりながらスタジオではポップな音楽を要求されていたからジョー・ファレルやアンソニー・ブラックストンのプレイは大変参考になった。
ジョー・ファレルさんのアルバムはソプラノサックス&フルートが多く、今もよく聴いているのだが、これだけ色々の音楽や楽器をこなす人は当時きっとスタジオでも引っ張りだこだったに違いない!
スタジオミュージシャンの集まったビックバンド「サド・ジョーンズ&メル・ルイス」のビックバンドは……クラリネット&テナーサックスのエディー・ダニエルスさんとフルート&テナーのジョー・ファレルさんとの2人の二大モンスターテナーサックス奏者が在籍するバンドで、これはこれだけで凄いのですよ!
そう、このビックバンドも来日したのですが、勿論聴き逃すまいと僕は聴きに行きました‼️
ジョー・ファレルさんの「ペニー・アーケード」等のアルバムはギターのジェフ・ベックと組んだアルバムが多く、エモーショナルな音でテナー&ソプラノサックスを吹きまくる、ロック色の濃〜〜〜〜い気持ち良いアルバムです。
スティービーワンダーの曲だったか……全音スタッカートの音形をテナーで綺麗にフォルティシモで吹ききったり、高音のロングトーンをフルトーンで吹ききったり、多少お稽古の賜物的な所はあるが、テクニックも相当なものだと思う。しかもフルートは抜群に上手い人だ‼️
僕はウィン・ショーターの様なスタイルが嫌いというわけではないのだが…………日本ではウニュウニュして多少憂いがあるようなテナーサックスが好まれる様な感じがする。
でも僕はフルート奏者だからか?………スカッと明るい音楽が好きなんだ……と改めて感じたのがジョー・ファレルさんです。そういえばロリンズさんもですか………
こんなにフルトーンで思い切りバンバン……テナーを吹けたら良いだろうな〜〜〜〜〜‼️
僕の憧れです‼️😍😍😍😍