カウント・ベーシー楽団の「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」のフルートソロは誰?

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フランク・ウェスのフルートソロが堪能できるアルバム

大学時代大阪での合宿でドラムの大森君は「ジャズフルートはフランク・ウェスがエエ」……という。

……で彼に聴かせてもらったのがカウントベーシー楽団の「フライミートゥーザムーン」……ここにフランク・ウェスのソロが入っているんですね。

その時、これは素敵なフルートの表現だな……と感じました。

ちなみに「ハービー・マンはジャズでは無い。」………と大森君は言いきりました。

要は……どうもハービー・マンはラテンミュージックであってジャズミュージックでは無い……と言う事らしいのですね。 

大森君は「あれは神田囃子と同じやん……」と言い切った。

 

ン〜〜〜〜〜、この意見には僕はかなりの異議を申し立てたい。

……と言うのは、40過ぎてから僕は神田囃子のお師匠さん若山胤夫先生に入門をした事があるのですが、まず最初から笛は吹かせていただけなのですね。

まずは…太鼓の稽古からやるのですが、若山先生が叩くお囃子のスウィング感は世界のどこにも無いノリであって本当にウキウキする素晴らしい日本特有の粋なスイング感がそこにあったのですよ。神田囃子とハービーマンは比べられませんね。

何しろ50年前の話ですからね……今なら大森君もきっとわかっていると思います‼️

 

たしかにハービー・マンはどのアルバムを聴いても吹きまくるスタイルだが、ノリノリで吹きまくるスタイルは聴いていると確かに楽しいしウキウキしますし、スローナンバーも本当によく歌いますよね。彼はフルートが本当に好きなんだな…と思いました。

それにしても、まるで憑依しているように吹きまくられる…というのは…僕には真似できないな

…………というわけで僕にはできそうに無い事は避けた方が良い ………という事で、ハービー・マンさんには興味は湧かなかったのですね。

 

逆に大森君が言っていたフランク・ウェスは面白そうなので「オパス・ドゥ・ジャズ」というヴァイヴのミルト・ジャクソンとのアルバムを早速買い求めた。このアルバムは大野雄二さんの劇伴のアドリブソロを演奏する上で大変参考になり、僕の大切なエチュード的なアルバムにになりました。   何しろ50年前の事ですからね!‼️

教えてくれた大森君には感謝しかないですよ。

僕が好きになったジャズフルートのアルバムはこのアルバムくらいしかなかったのです。

 

ちなみにフランク・ウェスは「アナザー・オパス」というヴァイヴのレム・ウィンチェスターとのアルバムにも、又、珍しいジャズハープのドロシー・アシュビーさんとの上品なジャズアルバムにフルートで参加しています。

カウントベーシー楽団ではウェスさんはテナーサックスと持ち替えでフルートを吹いていますが、僕はニューヨークで秋吉敏子さんとルー・タバキンさんのビックバンドを聴いた事があるのですが、ウェスさんはアルトサックスで参加なさっていましたよ。

それも素敵なリードアルトでした。

 

ジャズピアニストの市川秀雄さんに「中川君ハンク・クロフォード」みたいに吹いて‼️

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アンクル・ファンキー…というあだ名があるそうな…

ハンク・クロフォードさんはファンキーおじさん…というあだ名があるそうなのですが、僕が市川秀雄さんのカルテットでテナーサックスを吹いていた時、確か宮本典子さん(ヴォーカル)のレコーディングの時に僕はナ・ナ・ナント‼️サックスで雇われたのですが、市川さんから「ハンク・クロフォードみたいに歌ってね‼️」と言われたのです。早速ハンク・クロフォードさんのアルバムを数枚買い込み「イマジネーション」「イマジン」等レコードが擦り切れるほどハンクさんのファンキーな節回しを聴き倒しました。

その録音の時、当時飛ぶ鳥を落とす勢いのサックス奏者ジェイク・コンセプションさんがリードアルトだったのですが、なんと…彼では無く……僕がアドリブソロをとる羽目になったのです。

ちなみにフリー・ミュージックでは無く、ポップスミュージックの録音で、僕がアルトサックスでヴォーカルのバックバンドの一員でアルバムレコーディングするのは初めてだったので、僕は心臓が飛び出すかと思うくらい緊張しました。(笑)

 

ハンク・クロフォードさんはレイ・チャールズ(ヴォーカル&ピアノ)のバックバンドのアルトサックス奏者だったとか…………ファンキーに歌い上げるナンバーワンってのは頷けますね。

本当に勉強になりました。

 

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ソニークリスさんはナカナカの名人です。

話は変わりますが学生時代のある時、バッド・パウエルのようなスタイルのジャズピアニストの大野三平さんという方ののライブに乱入、その後よく当時新宿の歌舞伎町にあったジャズ喫茶「タロー」に行くと「芸大の坊や一緒にやろう!」と言ってくれて、何回もセッションご一緒させて頂いたのですが、「君はソニー・クリスみたいだね。」……と言われて僕は調子に乗って、よく大野三平さんに誘われアルトサックスを目一杯吹いて来ました。

その後も大野三平さんに雇われて御殿場のジャズクラブにご一緒してセッションしたり、青山のジャズクラブに誘われたりして夜中過ぎまでご一緒させて頂きました。

当時は東京都の条例で12時を超えてナイトクラブで演奏すると警察に連れて行かれてしまい格子のある所に入れられるという、怖〜〜〜い世の中だったので、サックスのあさがおの中にタオルを丸めて入れて音量を下げ、お巡りさんがいないかどうか注意しながらビクビク演奏していました。

この時期に僕が知っている有名なジャズミュージシャンは結構警察署にお泊まりした方が大勢いらっしゃるとの事…………だそうです。

捕まらなくてよかったです〜〜〜‼️

 

 

僕が学生時代驚愕したジャズプレイヤー……エリック・ドルフィー

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どんな楽器を吹いても吹きまくるドルフィー

ジャズフェスティバルをそのまま記録した映画「真夏の夜の夢ジャズ」……だったか?

チコ・ハミルトンクインテットの一員で登場しているアルトサックス、フルート、バスクラリネットを自由自在に吹きまくるドルフィーさんが登場するのですが……実はドルフィーさん、僕の憧れの人です‼️

彼はアルトサックスもバスクラリネットも艶があって瑞々しい良い音で歌いまくる……その上フルートを吹くとまるで始めてフルートを持った人が息もつかさず吹き続け歌いまくるように僕には聴こえた。全くユニークな存在です。

……というのは僕はクラシックのフルートを勉強していたので、彼の音の出し方や音の作り方等、クラシックとは全然違うアプローチで吹く音にしても音程にしてしてもお世辞にも上手いとは僕は感じなかったのだが、彼のフルートを聴いていると、そんな常識的な事を超越している音楽を感じる。自然界にある鳥の鳴き声、風の音そのものだったりを感じてしまう。

 

 

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チコ・ハミルトンクインテットやミンガスやオリヴァー・ネルソンのバンドにも参加している。

「ラストデイト」の「You don’t know what love is」を聴いた時は本当にショックでした‼️

どういう勉強をすればこういう演奏ができるのかまるでイメージがわかないし、わからないのです。謎………鳥が鳴いているようなフレーズで延々と吹きつずける……謎?

僕はジャズフルーティストになる前、現代音楽の分野でも「ヴァンドリアン」というグループに参加していたのですが、ドルフィーさんのフルートは正にジャズなのですが、現代音楽に共通するような非常に斬新なものを感じてしまう。

「Out to. Lunch」の中に僕の敬愛する現代音楽で有名なセべりーノ・ガッゼローニさんの

名前がタイトルになってる曲があるのに気がついた。きっとドルフィーさんは現代音楽を意識していたのだろうと思った。

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コルトレーンクインテットやオリヴァー・ネルソンクインテットにも登場

外国のプレイヤーと一緒に演奏する時、度々「どのプレイヤーに影響を受けたんだい?」……とよく聞かれるのですが、決まって僕は「エリック・ドルフィー」…と答えるのですが、

「冗談だろ?」……って必ずいわれるのです。

ドルフィーさんは、ユニークな素晴らしいプレイヤーなんですけど…………

 

 

キャノンボール…………って凄い名前だよね‼️ 大砲の弾ですよ……

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キャノンボールの音楽ってあまりも間口が広いのですよ‼️

キャノンボール・アダレイさんと言えば「ワークソング」「ジスヒア」「マーシーマーシーマーシー」等、ファンキージャズ…が代名詞みたいなレッテルを貼られていますが、

実はマイルス・デヴィスさんとの「サムシンエルス」やビル・エヴァンスさんとの「Know what I mean?」ブラジル66のセルジオ・メンデスとのボサノヴァのアルバム、コルトレーンとのアルバム「イン・シカゴ」……と、どのアルバムも素晴らしく音楽的で僕は大好きなのです。

キャノンボールさんが自分のバンドを作る前に、マイルス・デヴィスさんのセクステットに在籍していましたが、その時のアルバムも、キャノンボールはオープンマインドで暖かくて音楽的なアドリブがなんとも素晴らしい。

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マイルスデヴィス在団当時のアルバム

ストリングスとのアルバムも2枚あってこれも本当に素晴らしいのです。

チャーリー・パーカーさん、ポール・デスモントさん、デイヴィッド・サンボーンさん、それにキャノンボールさんのストリングスのアルバムは時代やスタイルを超えて本当に素晴らしいもです。しかも2枚もあるのです‼️

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キャノンボールさんはウィズ・ストリングスのアルバムを2枚も残しています。

キャノンボールさんは弟のナット・アダレイ(コルネット)とクインテットを結成活動を開始するのですが殆どライブアルバムで、途中一時期に「ライヴ!」「ニッポン・ソウル」等、チャールス・ロイドやユーゼフ・ラティスのテナー奏者も参加したセクステットの時代もありますがだいたいクインテットで、「イン・パーソン」「マーシーマーシーマーシー」等実に

沢山アルバムを残しています。

この時期は殆どジョー・ザヴィヌルさんがピアニストでバンドの番頭さん的存在でした。

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キャノンボールさんのライブ盤は沢山あります。

 

10人編成位のバンドはサウンドがカラフル且つソロも楽しめてご機嫌‼️

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マーティ・ペイチやベニー・カーターのアレンジの見事な事!

前回は2〜5管位のバンドの紹介をしましたが、今回はまるでフル編成のビックバンドの様な音がして、充分様々な音の世界を堪能できて、尚且つソロも素晴らしい……という10人編成位のバンドが本当に素晴らしいのです。

マーティ・ペイチ(ピアニスト&アレンジャー)のアルバムは数枚持っているが上記の2枚のアルバムは本当に素晴らしい。マーティ・ペイチはアート・ペッパーの「ペッパープラス11」というアルバムでも編曲を担当しているが、これもタイトルそのままの12人編成で、ペッパーの良い所を十二分に活かして編曲している。

上記の綺麗なお姉さんのジャケットの2枚のアルバムでも言うに及ばず、ソリストは、アルトにアート・ペッパーバリトン&クラリネットにジミー・ジェフェリーが特に素晴らしい。

 

もう一人のベニー・カーターは(アルトサックス奏者&アレンジャー)どちらかというと、

古いスタイルと言われているが、兎に角サックスが上手いし良く歌う。

共演している奏者もそうそうたるメンバーで、イーストコーストのアルバムではアルトのフィル・ウッズやテナーのコールマン・ホーキンス等、ウェストコーストではアルトのバド・シャンク、バディ・コレット、テナーのビル・パーキンス等の当時の精鋭達なのだが、ほぼ全員ソロを取っていくと、登場するカーターさんは良い音で上手いから、他のイーストコーストやウェストコーストの精鋭達の演奏に全然引けを取っていないし、彼のアレンジも素晴らしい。

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チャーリー・パーカー讃歌「スーパー・サックス」

ジャズ界の偉大な巨匠チャーリー・パーカーさんの音楽をサックスセクションでアルバムにしたアルバムがある。「スーパー・サックス」というタイトルがついているが、パーカーさんの吹くテーマのニュアンスをそっくりそのままサックスセクションで吹きまくりというものだ。

アドリブソロまでセクションでハーモナイズして吹きまくる。結構ワクワクしますよ!

ウェストコーストのカラッとしたアンサンブルが何とも………

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アンサンブルアレンジをされたバンドのサウンドが気持ちいい!

学生時代より僕はチェット・ベイカーアート・ペッパー、ビル・パーキンス、ショーティ・ロジャースといったウェストコーストのミュージシャン達のアンサンブルジャズが大好きなのですが、そのサウンドアメリカ西海岸ロスアンゼルスの気候のようにカラッとしていて気持ちいい、皆さん音色が綺麗、それでいてプレイヤーの皆さんはアドリブプレイヤーとしても素晴らしく、達人達による3管や4管のアレンジによるジャズなのです……未だに僕は日本ではそうしたウェストコーストスタイルのジャズを聴いた事が無いし僕自身実際に経験したこともないのです。

これは僕としては心残りでねえ…………

日本ではどうもウェストコーストジャズのサウンドは人気が無いようで、ピアノレスの三管や四管のバンドは聴いた事がない。確かに生粋のジャズファンは達人のアドリブ聴きたいという欲望があるのはよーくわかるのですが………アンサンブルをやりたい人があまりいないようなのです。

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レニー・ニーハウスのクセが全く無いアンサンブルジャズ

大阪の大森くんに聴かされたレニー・ニーハウスに至っては日本で知っている方は殆どいない。ジャズっぽい節回しを嫌うかのように淡々と綺麗な音でアンサブルを楽しむ。

 

ウェストコーストのこの話とは別に……僕は昔、ギル・エヴァンスさんのビックバンドに参加させて頂いた時に、彼の木管楽器を多用した斬新で新鮮なアンサンブルのサウンドは忘れられない思い出なのです。又、佐藤允彦さんの5管+ピアノトリオの「ランデューガ」は本当に斬新なアレンジで、ピアノを弾きながら指揮をする佐藤さんはカッコよかったし、僕も凄く楽しかった。そう言えば、ミスタールパンこと大野雄二さんの4管のバンドも凄く楽しかった!

(U-tubeで観られるようですよ)

 

 

 

僕が学生時代よく聴いたアルト奏者バド・シャンク

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学生時代よくラジオから流れていたバド・シャンク

学生時代、ラジオの深夜音楽番組やFEN等からよく流れていたジャズ&ポップスのアルト奏者バド・シャンクが耳に入る機会が増えてきた。

彼はもちろんジャズアルト奏者なのだが兎に角様々な音楽シーンに登場する。

自分のカルテットでのコンサートやアルバムは勿論、トランぺっトのチェット・ベーカーと組んでアメリカンポップスの曲やビートルズの曲を入れたアルバム「カルフォルニア・ドリーム」「ミッシェル」といったアルバムや、オーボエ&テナーサックスのボブ・クーパーと組んでフルート&オーボエでの室内楽のようなジャズをやったり、

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ギターのローリンド・アルメイダとのバンド「LA4」

ギターのローリンド・アルメイダと組んだバンド「LA4」ではブラジル音楽(ショーロやボサノヴァ)をやったりビックバンドをバックにソロアルバムを作ったり、クラシックのオーケストラと共演したり、インドのラヴィ・シャンカールとセッションしたり、ミッシェル・ルグランとのアルバム等……本当に多彩な活動をしていた方です。

僕も何処かで彼のように色々な世界の音楽を自分流に演奏する事は潜在意識として夢として持っていたのかもしれない。

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サックスセクションのアルバムやミッシェル・ルグランとのアルバム。

気がつけば、彼は晩年、情熱的にジャズに没頭しカルテットのアルバムを何枚も残していた。

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この時期は殆どフルートは吹かずにアルト奏者一本で通していた。